【能登の日本酒を巡る旅。心に灯りをともす地酒と、復興へ歩む酒蔵たち

能登の旅でこそ味わいたい、特別な日本酒。豊かな風土と能登杜氏の技が光る地酒の魅力から、震災を乗り越え未来へ向かう酒蔵の物語までご紹介。
日々の忙しさの中で忘れかけていた、心の声に耳を澄ます時間。能登の雄大な自然は、静かに自分と向き合う贅沢さを教えてくれます。そして、この地の旅をさらに味わい深いものにしてくれるのが、能登の風土そのものが醸し出す日本酒との出会いです。
それは単なる「美味しいお酒」ではありません。一杯の日本酒には、能登の自然の恵み、人々の営み、そして未来への希望が溶け込んでいます。
この記事では、あなたの能登での滞在をより特別なものにする、能登の日本酒の魅力と、そこに息づく酒蔵の物語をご紹介します。
能登のグルメ情報につていはこちらの記事でも紹介しております。
©石川県観光連盟
なぜ能登の日本酒は旨いのか?その風土と人の技
豊かな里山里海の恵み
厳しい冬には雪解け水が清らかな伏流水となり、夏は高温多湿で酒米が豊かに実ります。この寒暖差の大きい気候と良質な水、そして地元で栽培される酒米が、能登の日本酒の骨格を形作っています。
日本四大杜氏「能登杜氏」の魂
インフラの復旧や建物の再建といった「ハード面」の復興と同時に、今、能登では未来を創るための「ソフト面」の復興が力強く動き出しています。その中心にあるのが、移住でも観光でもない、地域と多様に関わる人々「関係人口」の存在です。
被災した地域の人々だけが頑張るのではなく、能登の外にいる人々がそれぞれの形で関わり、新しい風を吹き込んでいます。
【2025年】能登の日本酒を味わう。個性豊かな酒蔵と銘柄
令和6年能登半島地震では、多くの酒蔵が甚大な被害を受けました。しかし、困難な状況の中でも、各酒蔵は未来へ向かって力強く歩みを進めています。ここでは、能登を代表する酒蔵とその銘柄を、現在の状況(判明している範囲)と共にご紹介します。
※営業状況は流動的であるため、訪問の際は必ず公式サイトやSNSで最新情報をご確認ください。
【輪島市】白藤酒造店(しらふじしゅぞうてん)
代表銘柄:「奥能登の白菊(おくのとのしらぎく)」
江戸時代末期から続く、輪島朝市の近くに蔵を構える酒蔵。代表銘柄「奥能登の白菊」は、その名の通り、上品で優しい甘みと、ふっくらと広がる米の旨みが特徴です。特に「特別純米酒」は、派手さはないながらも芯のある味わいで、食中酒として地元で長く愛されています。
産地: 石川県輪島市
【輪島市】日吉酒造店(ひよししゅぞうてん)
「米の旨み、ここにあり」を体現するような、どっしりとした味わいの日本酒を醸す酒蔵。看板銘柄の「白駒」は、米本来の力強い旨みとコクが感じられる一本。お燗にすると、その魅力が一層花開きます。能登の冬の味覚、発酵食品などとの相性は抜群です。
産地: 石川県輪島市
震災後の状況: 建物が倒壊するなどの大きな被害を受けられました。現在は事業再開に向けて様々な取り組みを模索されており、多くの支援が寄せられています。(2025年秋時点での詳細な営業再開時期は要確認)
【珠洲市】宗玄酒造(そうげんしゅぞう)
代表銘柄:「宗玄(そうげん)」
250年以上の歴史を誇る、能登を代表する酒蔵の一つ。キレのある辛口から、華やかな香りの大吟醸まで、多彩なラインナップが魅力です。代表銘失「宗玄 剣山」は、やや甘口でなめらかな口当たりが人気。また、辛口の「宗玄 純米石川門」は、能登の新鮮な魚介類との相性が最高です。
産地: 石川県珠洲市
代表銘柄:「竹葉(ちくは)」
「心和らぐ清酒(さけ)造り」をモットーに、能登の米と水にこだわり続ける酒蔵。看板銘柄の「竹葉 能登純米」は、クリームのように滑らかな口当たりとバランスの良い味わいで、日本酒初心者から愛好家まで幅広く楽しめます。能登の食材とのペアリングを追求したシリーズも人気です。
産地: 石川県鳳珠郡能登町
震災後の状況: 蔵の一部に被害を受けましたが、懸命な復旧作業により酒造りを継続されています。「能登の酒を止めるな」という強い意志のもと、地域の希望の光となっています。
【能登町】松波酒造(まつなみしゅぞう)
代表銘柄:「大江山(おおえやま)」
手造りの寒仕込みにこだわり、伝統的な酒造りを守り続ける酒蔵。代表銘柄「大江山」は、軽快な飲み口と爽やかな味わいが特徴で、特に海の幸との相性を考えて造られています。貝類など、磯の香りを感じる料理と合わせたい一本です。
産地: 石川県鳳珠郡能登町
震災後の状況: 酒蔵と会社が全壊するという壊滅的な被害を受けました。しかし、「この場所で必ず再建する」という強い決意のもと、トレーラーハウスでの営業再開を目指すなど、未来に向けた挑戦を続けています。(2025年秋時点での詳細な営業再開時期は要確認)
能登の日本酒と最高の時間。「まいもん」との出会い
Tomoru Hotelのコンセプトの一つに、「点」の体験を「線」にするという想いがあります。
例えば、九十九湾で釣れた魚を、地元の寿司店に持ち込む。そこで出会うのが、能登の地酒です。釣れたばかりの新鮮な魚と、その土地の水と米で造られた日本酒。これ以上の贅沢はありません。
牡蠣 × 辛口純米酒:潮の香り豊かな焼き牡蠣には、キレの良い辛口の純米酒を。互いの旨みを引き立て合います。
お刺身 × 吟醸酒:白身魚の繊細な甘みには、華やかな香りの吟醸酒がそっと寄り添います。
ちゃんこ鍋 × 本醸造:具材の旨みが溶け出したちゃんこ鍋には、しっかりとした味わいの本醸造を合わせるのがおすすめです。
カウンターで隣り合わせた地元の人と、能登の日本酒を酌み交わしながら語らう夜。それは、都会では決して味わえない、心温まる「ヨバレ」文化に触れる瞬間です。
旅の終わりに。Tomoru Hotelで灯す、次への希望
能登の日本酒を巡る旅は、ただお酒を味わうだけではありません。それは、厳しい自然と共に生き、伝統を守り、そして未来へ向かって力強く歩む人々の物語に触れる旅です。
一杯の日本酒が、旅人と地域の人々を繋ぎ、温かい交流を生む。
Tomoru Hotelは、そんな出会いの「入り口」でありたいと願っています。
能登の美しい景色に癒され、美味しい食事と日本酒に舌鼓を打ち、そして人々の温かさに触れる。ここで見つけた「好き」や「心地よさ」は、きっとあなたの心に新たな灯りをともし、明日への活力を与えてくれるはずです。
さあ、あなただけの「灯り」を見つける旅へ。能登のあたたかさに触れる旅の入り口で、お待ちしています。